ここまでのレッスンでは、優れた予測モデルの原則(CATS)と、予測モデルの基本構造(Define → Trend → Event → Convert)を紹介してきました。しかし、優れた予測構造を持っていても、入力するデータや将来イベントの設計が適切でなければ、予測の精度は大きく損なわれます。
先日開催された売上予測モデル構築に関する当社ウェビナーでは、「予測モデルとデータは切り離して考えるのではなく、同時に設計すべき」という考え方が紹介されています。
予測モデルはデータから始まる
予測構築では、まず「どのような意思決定を支援するのか」「どのような予測構造が必要なのか」を定義します。そのうえで、「必要なデータはあるのか」「どこにデータギャップがあるのか」を評価することが重要だと説明されています。Andrew氏は、予測構造を決めた後にデータを当てはめるのではなく、予測モデル設計とデータ監査(Data Audit)を並行して進めるべき だと説明しています。
なぜデータギャップを把握する必要があるのか
実際の予測プロジェクトでは、市場調査を実施し、二次データも収集したにもかかわらず、モデルに組み込めないというケースが起こります。ウェビナーでは、患者シェアを取得した調査データが、予測モデルで定義している患者セグメントと一致していない例が紹介されています。その結果、調査データとモデルがあるにもかかわらず、実際には予測に活用できないという事態が発生します。
精度向上のための優先順位付け
すべてのデータを同じレベルで精査することは現実的ではありません。そこで当社が紹介しているのが、Sensitivity × Confidence Matrixという考え方です。

Sensitivityとは
Sensitivityとは、その仮定を変更した際に予測結果がどれだけ変化するかを意味します。例えば、診断率・市場シェア・Peak Share などは高いSensitivityを持つことがあります。
Confidenceとは
Confidenceとは、その仮定をどれだけ信頼できるかです。 例えば、複数のデータソースで裏付けられていたり、長期間の実績がある場合は高いConfidenceを持つと言えます。
最優先で改善すべき仮定とは?
講師陣が強調しているのは、「影響が大きいのに、信頼性が低い仮定」です。限られた予算や時間は、この領域に集中投下するべきだと説明されています。
Event設計が予測の透明性を高める
ウェビナーで繰り返し強調されているもう一つのテーマがEvent設計です。エバリュエートでは、上市、適応追加、競合参入、新たな臨床データの公表などの将来イベントを、Baseline 予測とは独立して管理することを推奨しています。これにより、どのイベントが予測結果に影響したのかを説明しやすくなり、シナリオ分析も実施しやすくなります。例えば、競合の上市が遅れた場合や市場シェアの想定を変更した場合も、イベント単位で影響を確認できます。
次回予告
次回はいよいよ最終回、「Forecastを社内で受け入れてもらう方法」を取り上げます。
エバリュエートが考える「予測結果の伝え方」について解説します。
関連ソリューション
売上予測プロセスの標準化・高度化を検討している方へ
売上予測の課題は、単なるモデルやExcelの問題ではなく、プロセス、データ、組織横断での合意形成など複数の要素が関係しています。エバリュエートでは、製薬企業の売上予測能力向上を支援する各種サービスを提供しています。
売上予測モデル構築支援
予測モデルの構築から監査レビュー、予測担当者向けトレーニングまで幅広く対応。
✓ こんな方におすすめ
- 予測モデルを見直したい
- 予測精度を向上させたい
- 上市品に合わせた予測を実施したい
- 社内の予測プロセスを標準化したい
- チームの予測レベルを底上げしたい