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Expert Interviews

志を現実に落とし込むために: ターゲットプロダクトプロファイル(TPP)がこれまで以上に重要な理由

3月 18, 2026

このシリーズでは、エバリュエートのコンサルタントが、製薬業界で日々クライアントと向き合う中で直面する主要な課題について語ります。
今回のインタビューでは、コンサルティング & アナリティクス部門のシニアバイスプレジデントであるポール・ヴァーディンが、優れたターゲットプロダクトプロファイル(TPP)とは何か、なぜ開発の初期段階から重要なのか、そして「プレッシャーテスト」がポートフォリオや投資判断をより確信のあるものにする上でどのように役立つのかについて、彼の視点を共有します。

Paul Verdin, PhD

コンサルティング & アナリティクス部門 シニアバイスプレジデント

ポールはエバリュエートのコンサルティング&アナリティクス事業を統括し、ポートフォリオ戦略、アセット戦略、競合環境分析、売上予測、バリュエーション、BD&L といった領域における戦略アドバイザリー案件を率いています。グローバルの製薬企業やバイオテック企業全体を幅広く支援しています。
ポールは、アカデミアでの研究経験とライフサイエンスコンサルティングにまたがる豊富な経歴を持ち、初期段階のバイオテックから大手製薬企業のコーポレート戦略チームまで、多様な組織を支援してきました。彼の仕事は、パイプラインの優先順位付けから商業戦略、投資判断に至るまで、製品ライフサイクル全体にわたり、エビデンスに基づく意思決定をクライアントが行えるよう支援することに重点を置いています。
まず基本からお伺いします。ターゲットプロダクトプロファイル(TPP)とは何で、なぜ重要なのでしょうか?

基本的に、ターゲットプロダクトプロファイル(TPP)は、開発中の製品を「最終的にどのような姿にしたいのか」を示す設計図です。理想となる将来像を示すものですが、同時に現実に根ざしている必要があります。良い TPP とは、市場に到達でき、実際の医療現場で使用され、商業的にも成立する製品像を描いたものです。要するに、夢物語であってはなりません。

TPP が重要なのは、開発に明確な方向性を与えるからです。臨床試験を設計する際には、「何のためにその試験を設計しているのか」を理解している必要があります。TPP はその到達点を示します。TPP がなければ、チームは「成功とは何か」を共有できないまま意思決定を行ってしまう可能性があります。

結論から言うと、できるだけ早い段階です。創薬研究(ディスカバリー)やごく初期の前臨床の段階では、不確実性が非常に大きく、特に新規作用機序の場合はなおさらです。ただ、TPP が本格的に重要性を持ち始めるのは、企業が臨床戦略を具体化し始める pre-IND(治験開始前)段階あたりです。

このタイミングでは、開発プログラムがどのように展開し、成功するために製品が何を示す必要があるのかを、チームが明確に理解していなければなりません。TPP はその「構造」を提供します。また、TPP は新たなデータが得られるにつれて進化していくべきものだという点も重要です。特に新しい作用機序を扱う場合、優れた TPP は“生きた文書”であるべきなのです。

TPP がなければ、「実際に何に投資しているのか」を正しく把握することが難しくなります。あらゆる開発プログラムにはリスクがありますが、アセットごとにリスクの種類は大きく異なります。また、企業や投資家ごとにそのリスク許容度も異なります。

ある TPP は、生物学的な裏付けがまだ不十分な first-in-class の治療薬を想定しているかもしれません。別の TPP は、既存の作用機序を基に、投与頻度の低減など 利便性向上 に焦点を当てているかもしれません。いずれも有効な開発アプローチですが、それぞれ前提としている仮説が異なります。

TPP を明確にすることで、これらの前提を“見える化”し、臨床と商業の視点をつなぎ合わせる役割を果たします。新規作用機序であれば、標準治療(Standard of Care)をどう上回るかが焦点になりますし、利便性向上がテーマの場合は、その価値に対して本当に市場が存在するのかを理解する必要があります。

最大の課題は「客観性」です。チームは自分たちのアセットに深く関わっており、その成功に大きな思い入れがあります。そのため、一歩引いて「この製品は本当に医療現場を変えられるのか?」と問い直すことが難しくなるのです。

要するに、自分たちの “baby” が「本当に美しいのか?」を冷静に見極める必要がある、ということです。

ここで外部の視点が極めて重要になります。処方医やペイヤーからのインプットは、社内の期待と実際の市場ニーズとのギャップを浮き彫りにしてくれます。TPP は紙の上では良く見えても、医師が「この理由で処方しない」と言うのであれば、それは明確な問題です。

TPP は創薬開発のあらゆる重要要素を内包しており、特定の思考に固執しないことが重要です。
その点で、エバリュエートのチームは非常に大きな価値を提供できます。私たちはペイヤーやキーオピニオンリーダーと対話できる広いネットワークを持つだけでなく、客観性も備えています。ときには耳の痛い内容になることもありますが、それこそが大きな価値につながるのです。

プレッシャーテストとは、TPP を“外部の視点”から見直し、その中にある前提条件を一つひとつ問い直すプロセスです。TPP 自体のクリティカルなレビューに加えて、外部エキスパートからの体系的なインプットを組み合わせて実施します。

目的は 検証(validation) です。プロセスを通じて、戦略がそのまま成立することを確認できる場合もありますし、ターゲット集団の見直し、求められる臨床的ハードルの引き上げ、ビジネス機会のサイジングなど、期待値を修正すべき領域が明らかになる場合もあります。
多くの場合、私たちは ベストケースとワーストケースのシナリオを定義し、それが製品価値にどう影響するかを整理します。

プレッシャーテストは、プロセス全体が非常に協働的である点が特徴です。多くのプロジェクトでは、まず既存の TPP をレビューするところから始まります。そのうえで、現在の標準治療(Standard of Care)、患者の受療動線、そして近いタイミングで市場に参入し得るアセットを含めた競合環境を精査します。

特に重要なのは、多くのケースで、ローンチまで10年先の製品の TPP を検討しているということです。そのため、考えるべきなのは「現在の」標準治療ではなく、10年後の標準治療がどうなっているかという視点です。

一次調査(プライマリリサーチ)も大きな役割を果たします。私たちは、関連するエキスパートへのインタビューを設計・実施し、実際の医療現場でその製品がどのように評価されるのかを立体的に把握します。

調査の深さはプロジェクトによって異なり、比較的短時間のサウンドチェックから、より詳細な評価まで、商業戦略やデューデリジェンスの一部として実施することもあります。

エバリュエートのコンサルティング & アナリティクスサービスについて

エバリュエートのコンサルティング&アナリティクスチームは、ノーステラ全体のリソースを活用しながら、アセット戦略、ポートフォリオ戦略、コーポレート戦略に関わる重要な問いにお答えすることで、各社固有のビジネス課題に対処します。

幅広いデータアセットへのアクセスと、さまざまな治療領域・モダリティにまたがる豊富な経験を基盤に、お客様とパートナーシップを組みながら、成功のドライバーとなる答えをともに導き出します。

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